写真家 鈴木進次の旅のエッセイ 2006年6月15日発売「◆ 中国ゆったり五日間 ◆」
ISBN-286-01046-5 c0026
文芸社 1200円+税
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第二部 2005年5月の上海 p132
桂林行き旅行計画
二〇〇二年の十月に「ニューヨーク・ワシントン」を旅行した。
ニューヨークの「同時多発テロ事件」後、ちょうど一年経過していて、「貿易センタービル」の回りも絡麗に片付き、さすが世界一の超大国だ、復旧が早いと感心したものである。
ぽっかりと空いた跡地を見て、私の受けた衝撃も強かった。このような不幸な「同時多発テロ」なんか二度と起きてほしくないと願ったものだった。
世界の憲兵的な役割を果たしてきたアメリカは、宗教的な違いや杜会体制の違う国から敵対視されてきたことも事実だ。
そして世界中の世論を無視してよその国へ何度も戦争を仕掛けてきた。
現在も忌まわしく不幸な対イラク戦争展開中だ。子供たちや武器を持たない婦人や老人たちがまたも苦しめられるのだ。
アメリカ旅行をしていて、この軍事強国をやっつけ、唯一勝利し、民族の独立を勝ち取った「べトナム社会主義共和国」を見ずして「ニューヨーク・ワシントン旅行を締めくくれない。
p133 そんな思いを抱き、同年十二月に「ベトナム横断旅行」に参加した。 農業を主体としたベトナムは、大きなビル群もなく、水牛が水田の主役として活躍.るのどかな国だった。
こんなにも穏やかな農業国に(石油が採れるわけでもないのに)、なんでアメリカは戦争を仕掛けたのだろう?
アジア全体に共産党政権が誕生することを警戒したからか? それだけであれほどの膨大な量の火薬を使って、自国が赤字になるような戦争をしたのだろうか?
私なりにあれこれ思いをめぐらせながら、ベトナムの四つの「世界遺産」を見学してきた。
ハノイから約四時間ほどトンキン湾を目指してバ.ブに乗ると、「ハロン湾」がある。海面から二ョキニョキ突出した大小千にも及ぶ「奇岩」が海面にその姿を映し出す。夢の中にいるような幻想的な光景はまさに"海の桂林"その表現どおりであった。
八十人乗りぐらいの食堂付き船を、添乗員・現地ガイドを含めたツアーの九人で借り切り、食事を楽しみながらクルージングするのである。
p134 犬の形をした岩、シャモが喧嘩をしているような闘鶏岩などなどが幾重にも重なり遠くの岩が霞む。
地球の不思議・新しくお目にかかった"顔〃をとっくり拝見し、心憎い自然の佇に感動を受けた。
そしてベトナムに来て、ベトナム人の忍耐強さと優しさに触れ、アメリカに打ち勝った底力が、こうした美しい国を守ろうとしたところにあったのかもしれないとも思った。『ベトナム旅行』ができて良かったと締めくくったものだった。
「ハロン湾(海の桂林)」を見たら、今から十八年前(一九八五年)に観光で訪れた中国の「桂林」が無性に見たくなった。
二〇〇二年は日中国交回復三十周年を記念して、NHKで「桂林・陽朔」の特集を何度も放送していたので、十年ひと昔と言うが、ふた昔前とは大きく様変わりしている「桂林や陽朔」の様子を画面で見て目を白黒させたものだった。